山の上へと続く道。あちらこちらに茶畑が広がるなか、くねくねと細い道を進んでいく。
「まだか、まだか」と思い始めた頃、ようやく鵜飼さんの工房兼住居にたどり着いた。

工房の外には、たくさんの薪が積み上げられている。薪窯には、大きな寸胴鍋が3つ並び、パチパチと薪のはぜる音が響く。
鍋の中には、茶葉を詰めた袋と大きな布。かき混ぜながら空気に触れさせ、薪をくべて、ゆっくりと温度を上げていく。
もともとはガス釜を使っていたが、より深く色が入る薪窯へと変えた。ゆっくりと温度が上がり、ゆっくりと下がっていく。その穏やかな変化が、茶染めには適している。

「鉱物が入っていて、ここの水質がいいんです」
水によって染まり方は変わるが、この土地の水はやわらかく、美しく染め上がる。
染めて、洗って、乾かして、また染める——。
その工程を4日間かけて繰り返し、ようやく染めの作業が終わる。
さらにそこから、柄を施したり、ムラになった部分を柿渋で染め直したりと、工程はなお続く。

作品の中心にあるのは手拭いだ。
手間もかかり、失敗もある。それでも、飾るためではなく、日常の中で使ってもらえるものをつくりたい。丁寧につくられた実用品こそが、自分の作品だと考えている。
今は、この土地の水を使い、廃材を薪として活かし、廃棄されるはずだった茶葉を染料として用いる。

土地の恵みをそのまま材料にして、作品が生まれる。
自然の循環の中で営まれる今の仕事は、無理がなく、自分にしっくりと馴染んでいる。

