庭には漆の苗が100本埋まっていた。
「沼田の土地で、漆を植えるんです!」
母が図工の先生だった影響もあり、子どもの時から工作が大好きだった。
木工を学びたいと、金沢美術工芸大学工芸科、漆・木工専攻へ進んだ。
在学中に漆掻きという仕事を知り、話を聞きに見学へ行ってみた。興味は増し、卒業後茨城県大子町に移り、師匠の元へ弟子入りすることになる。
漆掻きを学びながら、作品作りをする日々が約3年間続いた。

「早く漆を植えたい!」
漆掻きが出来る状態になるまでには10年かかる。急いで群馬へ戻ってきた。
「拭き漆」は物足りなさを感じる。「塗りのもの」は木目が消えてしまい、勿体なさを感じた。
大好きな木目を活かしたい。漆の良さも表現したい。
そこで、「変塗り」という技法を取り入れることを思いついた。日本刀の持ち手等に使われている伝統技法のひとつだ。
木目のラインの美しさを一番に考えながら、そこに独自に考えた模様を「変塗り」で加えていく。


「拭き漆」によって浮かび上がる木目、「変塗り」による装飾、漆掻きだからこそ感じる漆の魅力を求めて、唯一無二の「Atelier Reve」の作品が生み出される。

木工が好きで学び初め、気付けば漆にすっかり魅了されていた。
今年、友人のパティシエとお店をオープン予定。
作品が店頭に並び、ケーキは漆器で提供される。
10年後の漆の成長も楽しみだ。