年代もののレコードプレイヤー、手回しオルガン、有名イラストレーターさんの絵画、古本、大きな飛行機模型…海外を旅して集めたものが溢れる西岡さんの部屋は、まるで博物館のようだ。
月島の酒店で住み込みで働いている時に行った釣具店。そこでアメリカやヨーロッパで作られているルアーに出会った。
釣りが好きだったこともあり「学校の勉強は出来ないけどこれなら作れそう。」そんな気持ちで木製のルアーを初めてデザインし、我流で作り始めた。
しかし「これは現地に行かないとなにも分からないな!」と思い、海外に行くことはまだ大変な時代だったが、22歳の時に初めて単身でアメリカに行った。
「侘び寂びのないアメリカやヨーロッパのものに、シンプルな面白さを感じた。」お金を貯めては何度も海外に行き、ワシントンDCのメリーランドで開催されていたクラフト展に出展をしたのが25年位前のことだ。
しかし、ルアー作りは成功したが、お金にするのは大変だった。
自分にできるのは木工しかない。
試行錯誤を繰り返し、ルアー作りから現在の動物作りへと変化をしていく。
「売れなかった時は、お客の心をとらえる作品作りが出来なかった自分の責任にしなくちゃいけない。」オリジナリティを大切に、どうしたら作品を良いと思ってもらえるかとことん研究を重ね、世に作品を届け続けている。
「始めた当初依頼があれば、なんでもやって、なんでも作る。」昔からその気持ちは変わらず、水族館からの依頼で作った大きなシャチから、今にも羽ばたきそうなヤマセミ、幅広くたくさんの種類を製作している。
何もできなかった若い頃にたくさんの人に感動を覚えた西岡さんの純粋な心が、魅力あふれる作品へと繋がっている。
工房をはじめた時から一緒にやってきた妻と、そして今では娘さんも手伝ってくれるようになり、まだまだ新しいものが生まれていきそうだ。